掲題ですが、
DANCEとMEDITATIONなんて全く真逆にあるものが
なんで同列やねんと
お思いかもしれませんが
自分の悪い癖で、LPを「聴く」というよりは「かける」方向で聴いている時が多くて、
そうなると、あとあとゆっくりアルバム通して聴いた時に
「エッ!?こんなええ曲入ってたっけ?!」
みたいなことになりがちなんですけれども、
このアルバムもそうでした。
このアルバム、1曲目の「Contemplation」(黙想・沈思の意味)は、
そのタイトルから反してフロア映えめちゃしますので私大好きなんですけれども、
周りからもいい加減突っ込まれ始めるくらい
かけまくっているんですけれども、
それ以外は基本MEDITATIONでした。
1曲目でアガってあとはストーンと落ちる感じですかね
《Tracklist》
00:00 Contemplation ←DANCE!
04:26 Watch The Trees ←MEDITATION!
09:24 Circle ←INDIA!
11:24 Ivory And Steel ←MEDITATION!
15:33 Orphicon ←MEDITATION!
20:07 State Of Sound ←MEDITATION!
という感じでしょうか。
Peter Michael Hamel
Betweenはどストレートなクラウトロックの枠にはまっているわけではなく、
クラウトロックの系譜をワールド方向に辿ると行き着くバンドです。
この最適な温度の湯船の中で、
最高に気持ち良いマッサージを受けているかのような音楽を作るバンドの首謀者は
ミュンヘン出身のPeter Michael Hamel(ピーター・ミヒャエル・ハメル)という、
ジャーマンロックシーンのミニマリストです。
彼は世界初の図形譜の発案者と言われているMorton Feldman(モートン・フェルドマン)や、
スティーブ・ライヒやフィリップ・グラスらと並ぶアメリカの偉大なミニマル・ミュージック作曲家である
Terry Riely(テリー・ライリー)とも繋がりがあったようで
ロックバンドのミュージシャンというよりは、
アカデミックなクラシック寄りの現代音楽作曲家です。
なぜそのような繋がりがあったかと言いますと、
彼もまた、ホルガー・シューカイらと同様に、
ドイツ現代音楽の父カールハインツ・シュトックハウゼンに学んでいたんですね。
(ジョン・ケージからも学んでいたという話も!?)
ちなみにピーターさん、こんな御本も執筆なさっております。
タイトルを英訳すると、「Using music to reach the self」
「音楽で自分を見つける」ということでしょうか。
彼はソロ作品も数多残しておりますが、ほとんどが
90年代後半からはドイツ・ハンブルグでご自身も教授となり、
教鞭を執っていらしたとか。
©︎PROGARCHIVES
優しそうなおじいちゃんですね。
なんでこんな優しそうで素晴らしい経歴をお持ちの方が
Betweenを結成したか?
そう、彼は若い頃ヒッピーだったんです
©︎PROGARCHIVES
最高
Between
はい、ここにめっちゃいい話あります
バンド名「Between」の由来は、ピーターさんがいつも
ポピュラーミュージックと、シリアスミュージック(長い伝統により洗練され複雑な構成を持つ音楽)の間をいく音楽を目指していたからだそうです。
両方の音楽を知っていて、どちらの側の人にも、どちらの音楽も聴いて欲しかった、
という思想がおありだったのでしょうか。
もしそうだとしたら、それってめちゃめちゃ共感します。
人は飛ばしすぎるとついていけないですし、見下してしまうと耳に入らなくなります。
ピーターさんはヒッピー時代に
中東〜インドの音楽に触れ、
betweenの源流となる
大陸的な中世、呪術性のある古謡志向の強い、
土着的前衛音楽を取り入れて言ったわけですねぇ
でも自分はアカデミックな音楽畑の人だからバンドを組んでも
周りのミュージシャンもアカデミックなわけです
だからあんまり荒っぽい感じや、
ローファイなクオリティはbetweenから感じることはできません。
スマートな魔術性とでもいいましょうか。洗練されてる
それがbetweenをいっているということなのかも。(?)
実はこのアルバムにはPOPOL VUHに6年間在籍していた
クラシックオーボエ奏者Robert Eliscu(ロバート・エリスク)が参加していたりするので、
POPOL VUH系列で紹介されたりもします。
上述した本の執筆やソロ作品での
Betweenの活動後の話になります。
彼は心理学も学んでいたので、
もしかしたらヒーリング・ミュージックを目指していたのかもしれません。
やっぱりヨーロッパからだと中東インドとかって距離的に近いから行きやすいのかしら。
でも不思議なのは、中東〜インドに南下していったクラウトロックミュージシャンは
たくさんいるのに、
アフリカに南下していったバンドってあんまいないんだよなぁ。
この音楽を聴くたびに、
本来自分がいるべき場所に戻ってきた感じがしますわ。
適温のぬるま湯、最高〜