出会い
もう何年か前だったか忘れましたが、
三茶のバミューダトライアングルの近くのDJ BARだったか、(いや渋谷のオルガンバーだったかもしれない)でDJをやった翌朝、先輩が「Brainticketの顔がバーーーンってなってるやつ忘れたので誰か持ってませんか」って言ってたのが、BRAINTCIKETとの初めての出会いだったような気がしています。
インパクトあるので速攻見つかってました。
多分、CANのTAGOMAGOの後くらいに知って、「また脳味噌見えてるやん・・」って思った記憶があります。
今思えばサイケが好きになったのはBRAINTICKETからなような気がしていますので自分の中ではとても重要なバンドだったりします。
Cottonwood Hil
これはBRAINTICKETが1971年に出した1st album「Cottonwood HIll」
1. Black Sand (00:00) (Ron Bryer/Joel Vandroogenbroeck)
2. Places Of Light (04:05) (Ron Bryer / Dawn Muir/Joel Vandroogenbroeck)
3. Brainticket Part I (08:11) (Ron Bryer / Kolbe/ Dawn Muir/Joel Vandroogenbroeck)
4. Brainticket Part I [Conclusion] (16:32) (Ron Bryer / Kolbe/ Dawn Muir/Joel Vandroogenbroeck)
5. Brainticket Part II (21:08)- (Ron Bryer / Kolbe/ Dawn Muir/Joel Vandroogenbroeck)
ジャケットからもお分かりいただけると思いますが、この作品本当普通じゃない。アルバムのライナーノーツに書いてある言葉がもう普通じゃない。
『After Listening to this Record, your friends may not know you anymore" and "Only listen to this once a day. Your brain might be destroyed!"
-このレコードを聴いたあと、友達は君のことがもうわからなくなるかもしれない。それからⅠ日にⅠ回までしか聴いちゃいけないよ、そうじゃないと君の脳味噌は破壊されるよ!!!』
レコード聴いただけで友達全員に拒絶されて脳味噌破壊されるとか怖すぎ。
注釈で、これに対してレコード会社一切の責任を負いません、とも書いてある。
まぁ実際に何回も聴いていますが友達いるので大丈夫だと思ってるんですけれども、でもやっぱり、聴き続けるとだんだん景色が歪んでくんな〜って思ったリアル衝撃作はバンドのタイトルにもなっている超大作「Brainticket」という曲。
Part ⅠとPart Ⅰ(Conclusion)とPart Ⅱって分かれていて、多分LPのフォーマットの関係で分けていると思うんですけど、(Conclusion)ってパートの分け方が斬新・・
この曲は1曲だけで計27分あるんですけれども、
鬼の漢気ワンパターンリフレインと8ビートが永遠に繰り返され、そこにいろんな音が飛び入り参加してくるサウンドコラージュになっている作品です。
冒頭からガシャーンバリーン!みたいな何かが割れる音から始まり、
コラージュネタは、パトカーの音とか、誰かが歯磨きしてるシャカシャカペーみたいな音とか、大きな機械が動いている音とか、都会の雑踏とか、突然のヴェートーヴェン「運命」の冒頭とか、女性の喘ぎ声とか本当に様々入ってます。
Part Ⅱの最後の方になると女性ももうめちゃくちゃヒートアップしちゃって泣き叫ぶ大変な展開を迎えた挙句、
突然車に轢かれて爆発音と宇宙から何か来たエイリアンっぽい音が流れて来て曲がブツッて終わる。
「Allright...泣 ドーーン!!Allright..泣 バーン!!ガシャーン!!!ピリピリピリ」みたいな。疲れる。
ちなみにアルバムのタイトル「Cottonwood Hill」って直訳すると「ポプラ(ハコヤナギ)の丘」らしい。
えらい可愛い名前やな、植物が出てくるとどうしても疑ってしまうなと思って、他に意味ないのかなって「Cottonwood slung」って検索したら「ハコヤナギスラング」ってそのままGoogleに翻訳されました。特に意味ないのかな。
Psychonaut
もうCottonwood Hillだけでお腹いっぱいだよ!って思っていらっしゃるかと思いますが、2枚目も紹介します。なんなら、タイトルになっている「Celestial Ocean」というアルバムなんか3枚目です。
(やっぱり長くなるので2つの記事に分けることに後で決めました。)
でも安心してください。2枚目はⅠ枚目のサイケを地で這っていくようなアルバムとはまるで違います。耳を疑うくらいものすごくキラキラして恐ろしく聴きやすくなっています。相変わらず脳味噌は出てるけど。
- "Radagacuca" (Joel Vandroogenbroeck, Montedoro) – 7:21
- "One Morning" (Joel Vandroogenbroeck) – 3:52
- "(There's a Shadow) Watchin' You" (Joel Vandroogenbroeck) – 4:33
- "Like a Place in the Sun" (Joel Vandroogenbroeck) – 6:26
- "Feel the Wind Blow" (Joel Vandroogenbroeck) – 3:30
- "Coc'o Mary" (Joel Vandroogenbroeck) – 6:06
それでは、1曲目「Radagacuca」から再生してください。
最高〜!これはもう本当に最高です。
相変わらず怪作なんですけど、前半の優雅に舞う美女のようなフルートの音色、
そこに切り込んで来る土着パーカッション、
後ろでなり続けるオルガン界の王者ハモンドオルガン(やはりハモンドは神秘的な雰囲気を盛大に演出する楽器)、
からの都会から何万キロも離れたインド秘境の地で自然のリバーブで鳴り響くかの如く弦を震わすシタールの音色に優しく重なるフォーキーな心地よいボーカル。
どこまで夢見ていられるかな〜と思ったら突然狂ったように暴れだすオルガン・ギター・ドラムに狂人かのような笑い声が聴こえて来る。
あぁここは1stから相変わらず〜っ!と、それが故の怪作ですが、最高です。
更に私本当に吃驚したのが、なんとこの曲Geniusに歌詞が掲載されてるんですね!
もの好きがいるんですね。でもアノテーションゼロだよ!誰か!
美しく踊るピアノの中でまさかの雷鳴サンプリングが轟く2曲目や、ビッグドラムとキーボードとフルートが元気に走り回るアゲソング(6曲目)も入っていたりします。
Cottonwood hillでもパトカーの音とかサンプリングされていたからというのもあるかもしれないんですけど、BRAINTICKETって聞くとなぜだか車とか汽車とか、その類の乗り物を思い出すんですね。
NEU!(ノイ!)のクラウス・ディンガーが生み出したハンマー・ビートを聞いてもなぜだが車を思い出す。
そういえば、Kraftwerk(クラフトワーク)の代表作でもある「Autobahn(アウトバーン)」は高速道路の意味。ドイツは車社会だからそこから影響されているのかもしれない、と一人ごちました。
ところでPsychonautは1万円くらいで国内で手に入れられると思います。
BRAINTICKET
アルバムの紹介ばかりでメンバーの紹介を全くしていませんでした。
ここまでありありとドイツの経脈で書いて来ましたが、実はBRAINTICKETは多国籍バンドです。
バンドリーダーはJoel Vandroogenbroeck(ジョエル・ファンドルゲンブルック)。
彼はもともとベルギー出身のクラシックピアニストでした。そこからジャズに転向、なんとクインシー・ジョーンズのオーケストラでも演奏したことがあるそうです。
そこから何があって一体どうなってこうなっちゃったのかわかりませんが、Amon Duul やCAN、Tangerine Dreamから影響を受けまくってギタリストRon BryerとドラマーのWolfgang PaapとBRAINTICKETを始めちゃうんですね。
こんな逸話もありました、1st Cottonwood Hillが出た時に反ケミカルドラッグ協会(?)の協議にかけられてしまったそうで、考え抜いた末に「脳味噌が破壊されるよ!!」っていう注釈をレコード会社がつけたらアメリカ始めとする諸外国で輸入を全く受け付けてくれなくなったと。可哀想。
1枚目はスイスのレーベルから出して、その後ドイツに活動拠点を移したみたいです。
当時はドイツに住んでいたみたいですが、メンバーの出身地はイギリスやスイスやイタリアなど各国に渡り皆バラバラ。Cottonwood Hillの時のクレジットはこちら。
- Ron Bryer - Guitar
- Werner Frohlich - Bass, Bass guitar
- Hellmuth Kolbe - Keyboards, Sound Effects
- Cosimo Lampis - Drums
- Dawn Muir - Vocals, Voices
- Wolfgang Paap - Percussion, Tabla
- Joel Vandroogenbroeck - Organ, Flute, Keyboards, Vocals
Dawn Muirが喘いでいる女性ですね。
その後、なんとイギリス人ギタリストであったRon Bryerが急逝しまったことにより拠点をイタリアに移したファンドルゲンは1stと2ndでメンバーを総入れ替えしてアルバムを作ります。
- Jane Free - Lead Vocals, Tbilat, Tambourine, Slide Whistle, Sounds
- Joel Vandroogenbroeck - Organ, Piano, Flute, Sitar, Sanze Vocal, Rumors, Generator, Arrangements
- Rolf Hug - Lead Guitar, Acoustic Guitar, Tablas, Vocals
- Martin Sacher: Electric Bass, Flute
- Barney Palm - Drums, Percussion, Strange Sounds
- Carol Muriel - Speaking on "Like a Place in the Sun" and oooh... oooh... on "Feel the Wind Blow"
- Peter - Witch Doctor and Good Vibes.
ここで、彼はその後大きな影響を及ぼしあうCarol Murielというシンガーに出会います。
そこから、私が元々紹介しようと思っていた3枚目、「Celestial Ocean」に繋がるわけです。
彼のダークアンビエント・ノイズソロ作品です。素晴らしいです。
これは高いよ、これは1万5千円くらいでしょうか。
ちなみに、スイスのエレクトロバンドYelloの元メンバーであるCarlos PeronがまさかのBRAINTICKET Remixなんてのも出しているのでこちらも是非!
軽快なリズムにスクリューされた女性の声でトンガリや目が回る感じはだいぶ軽減されていますが、映像がかなりチカチカしていてポリゴン現象系なので閲覧する際にはご注意ください。
(再生回数少なすぎ)
それでは続きは次回とします!
最近すぐレコードの値段言っちゃうのやめたい・・
あとで気づきましたがいつもより誤植が多いですね、修正仕切れていないところもある・・やっぱり破壊されてるかも脳味噌