【PSYCHEDELIC・SPACE ROCK】BRAINTICKET/Celestial Ocean
Celestial Ocean
一つ前の記事で、
Brainticketというクラウトロックなるものにジャンル分けされる多国籍バンドの1stアルバムと2ndアルバムをざっくりと紹介したのですが(↓)
本当に1番最初に紹介したかったのは3rdアルバムの方。
3枚目のアルバムは「Celestial Ocean」というタイトルで、これはつまり天の海という意味であります。
これ、ジャケット複数パターンあります。
一番知られている下記のカラフルなやつは73年にリリースされたイタリア盤。
そして下記の、歪んだ地層が泡となって飛んでいるようなブルーが印象的なジャケットが73年にリリースされたドイツ盤。
お値段はドイツ盤の方が高いです、東京では実物見たことないなぁ。
どちらもロゴが良い感じ。
これは90年代後半にCDで再発された時のジャケだと思います。
カラフルなジャケットになんか可愛いやつが船に乗ってどこかを目指しているイラストが書かれていると思うのですが、このアルバムは、古代エジプトで死者とともに埋葬されていたという「死者の書」をベースに作ったアルバムだそう。
死者の書って、死者の霊魂が肉体を離れてから死後の楽園アアルに入るまでの過程・道しるべを描いた書なんだそうですけれども、
それを、Brainticketの彼らは生涯を終えた古代エジプト王を主役に、宇宙と時間の狭間を旅した時のお話をイメージして作ったアルバムにしたみたいです。
相変わらず脳内が豊潤ですね。
下記が曲タイトル。
それっぽい。
1. Egyptian Kings (5:48)
2. Jardins (2:09)
3. Rainbow (2:51)
4. Era Of Technology (7:30)
5. To Another Universe (4:55)
6. The Space Between (3:02)
7. Cosmic Wind (5:23)
8. Visions (5:30)
メンバー
クラウトロックの枠組みに入れられている彼らですが、
3枚目のこのアルバムはスイス産純正プログレと評価されていたりもします。
メンバーは3人。2ndまではたくさんいたのに・・
- Joel Vandroogenbroeck / guitar, keyboards, synth, flute, vocals
- Carole Muriel / vocals, zither, synth, electronics
- Barney Palm / percussion, tabla, vocals
中心人物のファンドルゲンが2ndアルバム制作時(イタリア移住後)に出会ったアメリカ人女性ミュージシャンのCarole Murielは、彼に多大なる影響を与えました。
もしかしたら死者の書のストーリーを提案したのも彼女だったのかも、だいたい女性はそういうことする
もう一人のBarney Palmはスイス人ミュージシャンで、彼も2ndアルバムに参加しています。
しかし3人で作ったとは思えない素晴らしいアルバム。
むしろ1stと2ndはなんだったんだと、3人でこれだけのもの作れるんやったらそんなに人いらんかったやろと。
ドラッグミュージックに清涼感を足したアルバムなんて評価もされているようですが、
1stと2ndに比べたらドラッギーさなんてほぼ無いです。
たまに脳味噌出てるジャケットが脳裏をちらつくくらい。
自分が特に好きなポイントはツィターという楽器の音色。
2曲目の冒頭からふんだんに使われてます(5:51〜くらい)
ヨーロッパで作られた楽器だそうなので、あえてなのかお上品な感じ強めに出てますね。
Let it be ....
ツィターはトルコやアラブのKanun(カヌーン)という楽器にも似てます。
こっちの方がよかったけどね、これ使うと土着感結構出るからあえて使わなかったのか
しかし、4曲目のど頭(10:53〜くらい)に入る、
ハモンドオルガンにリングモジュレーターかけて鳴らしましたみたいな音色はマジで不安を煽るしここで脳味噌がチラつきますね。
これをトラウマっていうんでしょうかね。
これが一番brainticketっぽいんですけど・・
その後〜1997「Adventure」〜2015の最新作
そんな傑作・怪作を3枚続けてリリースしたBrainticketですがその後も活動を続け、
4枚くらいアルバムを残します。(ライブアルバムを入れると6枚。)
97年リリースのAdventureというアルバムはロックの経脈では全然評価されてないんですけれども、
実はめちゃくちゃ良いニューエイジアルバムなのでこれはもう今ぜひ聴いてほしい。
3枚目のアルバムを作った後に、Muriel女史を連れてバリに旅に行ったみたいなんですけど、1曲目からガムランで始まるからわかりやすく影響を受けている様子が見て取れて可愛い
最後に収録されているRoboticaという曲も謎のシャンガーンエレクトロみたいな感じになっていて聴いてて楽しいです。
そしてこちらが2015年にリリースされた彼らの最新作(!)
Legendary Krautrock Bandがそのタイトル通り、過去・現在・未来に分けてBrainticketをdescribeしているようなアルバムです。
やっぱりアルバムに散りばめられているリングモジュレーターかましオルガンと、ファンドルゲンのフルートのメロディ聴くと1stと2ndを思い出して、マジでトラウマになってるんだなって思いました