クラウトロックとそれにまつわる音楽のブログ

クラウトロック/ジャーマンプログレの紹介がメインです。

【ROCK】NEU!/NEU!

満を辞してノイの話をします。

ここ2ヶ月くらい何の音楽を聞いても何の音楽に触れても全く感動しなかった。

自分が演奏するほんのワンシーンで心が揺れたくらいでただただ困っていたのですけれども、

感性が死んでいるのかなと思った瞬間に気持ちが楽になりました。

 

日本の大好きなバンドのドラマーさんの

「音楽の扉が5年ぶりに開いた」

という言葉が不意にリマインドいたしまして

それを考えながらついにノイの話でも書こうかなと思ったわけです。

 

さっきから連呼しているノイっていうのはバンド名です。

ドイツ語で「NEU!」と書いてノイと読む。

正式名称でエクスクラメーションマークが付く。意味は新しい!

 

 

 

NEU!というバンド

NEU!は有名なバンドです。

バンドというか2人組なんですけれども、

クラウトロック好きでなくてもロック好きなら知っている人も多いと思いますし、

日本のファンが多い印象のバンドです。

このジャケットが超有名ですね。

 

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1971年結成、僅か4年後の1975年解散。

そして1985年〜1986年の1年間だけカムバック。

 

主なメンバーは、

クラウス・ディンガーと

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(こわい)

 

ミヒャエル・ローター

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(イケメン)

 

 

ミヒャエルさんの今

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(やさしそう)

 

クラウス・ディンガーとミヒャエル・ローターのそもそもの出会いは

クラフトワークの雇われメンバーだったところからだそうです。

オルガニザツォーン始めやはりモンスターバンドですね、クラフトワーク

色々あって半年後にクラフトワークを脱退した二人が新しく始めたのがこのNEU!だったわけです。

 

NEU!としての活動期間が短いので彼らは70年代の間に僅か3枚のスタジオアルバムしか出していません。

にも関わらず、彼らの功績が計り知れないのは「ハンマービート」を生み出したからに他なりません!

 

 

ハンマービートとは

クラウトロック大全にこんな記載がありました。

 

70年代には重要な3つのビートが存在した。

フェラ・クティのアフロビート、

ジェイムズ・ブラウンのファンクビート、

そしてクラウス・ディンガーのノイ!ビートだ。

ブライアン・イーノ

 

イーノも大絶賛した(デイヴィッド・ボウイも大好き)このハンマービートとは、

ロックのシンコペーションとダンスミュージックの四つ打ちが見事に融合したミニマル反復ビートです。

Wikipediaには「機械的な8つ打ちのバスドラム」って書いてあります。)

 

 

NEU!の曲で一番有名なこの曲「Hallogallo」で永遠に流れているのがそれです。

 

youtu.be

 

聞いていただければすぐわかると思いますが、

執拗に同じリズムをなんどもなんども反復させた人力テクノの元祖みたいな感じでしょうか。

もはやテクノというか人力トランス。

絶妙なタイミングでフィルインが入ったり、ちょっと叩き方が変わったりして本当に微妙な温度感の中で高揚感を煽られ、

一生続くんじゃないかという強迫観念の中に垣間見られる人力さながらの揺らぎに心地よさを覚える。

リズムキープどうやってるんだと思う一方で、されてるかどうかももはやわからんという。

ずっとこればっか聴き続けてると、頭の中が錯乱してくるような。

 

これが数々の大物ミュージシャンを魅了し、

今現在も多くのミュージシャンが影響を受け取り入れているハンマービートです。

クラウトロックでいうとヤキ・リーベツァイト(CAN)のドラムも似たような感じです。

これはNEU!を一躍有名にしました。

 

ちなみにここでのクレジットは

 

Banjo[Japan Banjo], Drums, Guitar, Vocals - Klaus Dinger

Guitar, Bass, Double Bass-Michael Rother

 

となっています。

 Japan Banjoってなんやねんという感じですが三味線のことでしょうか。

そんな音どれかわかりませんが。

あと、ディンガーさんはどうやらお琴も演奏されていたそうです。

なのでもしかすると琴なのかも。

 

Hallogalloという曲はやはりハンマービートにフォーカスされがちですが

それを支えるカッティングギターのような音や、

不意に浮き上がってくるメロディが浮遊感を感じて癖になります。

それを担っているのがミヒャエルさんです。

弾いててゲシュタルト崩壊しないのかなって思う。二人とも。 

 

 

 

ここまで功績を残した曲が収録されているこのアルバムですが、

当時わずか3万枚しか売れなかったそうです。(今考えると良い方ですが)

Hallogallo以外にも他6曲、全7曲収録されています。下記。

 

NEU!/NEU!

1.Hallogallo

2.Sonderangebot

3.Weissensee

4.Jahresuberblick

5.Im Glueck

6.Negativland

7.Lieber Honig

 

こんだけハンマービートで売り出してんだから他の曲も似たような曲が入ってんだろって

思われるかもしれませんが、そこはクラウトロック

他の曲聴くとビビります。

 

2.Sonderangebot ※音量注意

youtu.be

 

 

5.Im Glueck

youtu.be

 

 

7.Lieber Honig

youtu.be

 

 

ビートどこいったん?

 

 

解散後

NEU!は75年に3rdアルバム「NEU! '75」を残して解散してしまいます。

よくある音楽性の違いで。

このハンマービートの創始者であるクラウス・ディンガーはめちゃくちゃパンク魂を持っていて、

もう一人のミヒャエル・ローターはめちゃくちゃ環境音好きだったんですね。

それは上述した1stアルバム「NEU!」にもありありと現れていますし、

最後の3rdアルバムでも、

A面がクラウス・ディンガーのパンク仕様、

B面はミヒャエル・ローターのアンビエント仕様と行った具合に分かれていたそうです。

(2ndアルバム「NEU!2」も1曲の中で回転数が変わったりしてオモロイ)

 

ちなみにクラウス・ディンガーは超都会好きでミヒャエル・ローターは田舎志向だったそう。

音楽性にも現れてる。

 

で、ディンガーさんは1976年に新しいバンドを結成します。

その名も「La Düsseldorf」!

デュッセルドルフといえばドイツの大都市圏地域にある都会。

都会っ子なディンガーさんらしい名前。

(実際はそんなに都会ではないらしい)

 

 

そして、解散後の1995年には、

サイケやクラウトロックをたくさん取り扱っている日本のキャプテン・トリップ・レコードから

未発表音源ばかりが集められたまさかの「NEU!4」がリリースされます。

 

実は、当時二人は仲違いしていたにも関わらず、

クラウス・ディンガーの一存でリリースしてしまったものでミヒャエルは激怒だったそうです。

 

そしてその翌年にディンガーさんは「La!NEU?」名義で来日し、

全編4時間にわたる伝説のライブを行います。

(La!NEU?ではディンガーさんはギター、ボーカル、ドラム。)

その内容は凄まじく、特に「Cha Cha 2000」という曲の演奏が伝説に残っています。

内容は要約すると、

ハンマービートが炸裂しながらチャチャ・トゥサウザン、チャチャ・トゥサウザン、ちゃちゃにっせん!などと呪術のように繰り返し、「ちゃちゃさんぜん」「おねがいします」「おやすみなさい」 など日本語を交えながら叫んで暴れて阿鼻叫喚になったと思ったら静かになり、おしゃべりを始めたり、観客に 手拍子させたり、

ピアノソロが始まったと思ったらストリングスのギコギコが始まって、太鼓がドン!!ドン!!ってきたり、

これが2時間弱続いたらしいです。こえぇ

 

これライブ盤出てます。

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ハンマービートだけでも長時間聴き続けてると辛いのに

その他の要素が入って4時間って私だったら吐いてると思う。

 

 

そんな暴れん坊、クラウス・パンク・ディンガーさんですが

2008年に61歳で心不全のため他界されてしまいます。

2010年にはディンガーさんが勝手にリリースした「NEU!4」をミヒャエルさんが再編集した、「NEU!'86」がリリースされます。

来日するときも「La!NEU?」って名前だし、結局お互いのコンビ愛を感じるNEU!なのでした。。

 

  

めっちゃ良い空気感

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なかよし

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解散してもなかよし

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NEU! LPのクレジットは雑な手書きです。

それもいい感じです。

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カセットもあるらしい!

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ミヒャエル・ローターはその後もソロでたくさんの作品を残しています。

アンビエントだけでなく、様々な実験的なことにチャレンジしていて素晴らしい作品ばかりです。

 

 

2016年にミヒャエルさんが来日した時に野田さんと一緒にDOMMUNEに会いに行って、

その際にいただいたもの。

「LP持ってきてないなんてバカだよ!絶対サインもらった方が良いよ!」って言ってくれて

そんな発想まるでなく慌ててUNIONに買いに行ったら奇跡的にこのUS版があって8000円くらいで買って、

今我が家にあるという。一連の流れ含めて本当に良い思い入れがあります。

 

 

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え?これMichael Rotherって読めないよね?毎回思うけど。

  

 satomiの後に「!」つけてくれるあたりく〜っ!てなりました。

本人全く意図してないかもだけど。

 

 

 

 

次はLaDüsseldorfの「viva」を紹介します。

これはそのための伏線です!