クラウトロックとそれにまつわる音楽のブログ

クラウトロック/ジャーマンプログレの紹介がメインです。

【PSYCHEDELIC/SPACE】Tangerine Dream / STRATOSFEAR

うわ〜数万年ぶりに更新しよう〜って思ったら

意外と1年ぶりでした。

 

コロナで時間ができたと思いきや色々向き合うことがあって

意外と書きませんでした。

あっこれはついに書くタイミングがきた、と思って選んだのは

Tangerine DreamのSTRATOSFEARでした。

ジャケットほんとカッコ良いな〜

 

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ジャーマンロックの黎明期1967年に活動を開始し一時代を作り上げ、

バンド創設者のエドガー・フローゼが15年に急逝してからも、後継者によりなんと今も活動を継続し

ついに53年目を迎えたタンジェリンドリーム。

長寿すぎる、愛され方が半端ない

 

このレコードは私がジャーマンプログレ出会いたて、クラウトロックとは?という状態の中、

ジャケに惹かれて初めて買ったRubyconの次にうちに来た、2枚目タンジェリン。

 

中ジャケ

TD!

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毎回中ジャケに登場する

エドガー・フローゼの息子ジェロームくん(後にバンドに加入)

 

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1. Stratosfear [10.37]

2. The Big Sleep In Search Of Hades [4.29]

3. 3 a.m. At The Border Of The Marsh From Okefenokee [8.49]

4. Invisible Limits [11.25]

 

邦題

1. 浪漫(ロマン)

2. 大いなる幻影

3. 境界線午前3時

4. インヴィジブル・リミッツ

 

 

 

このレコードは、

日本語盤のライナーノーツを横尾忠則氏が書いてるんですけど、それには大きな影響を受けました。

 

横尾さんの作品はすごく好きなものと全然よくわからないものがあって、

このライナーノーツも、めっちゃ響くとこと全く入ってこないとこがあるのですが、

特に印象に残っていてクラウトロックを聴くときに指針?となっているような

よく思い出す言葉があるんでそれを書いておきます。

だから今日この記事書いてるんだと思います

 

 

「因縁」という言葉があるが、音楽との出合いにも同じく「因縁」が作用することがあるように思われる。(中略)二つのものが如何にも偶然に出会ったように思っているものでも、もし「因縁」がなければ出合えないものである。だからぼくがいくらタンジェリン・ドリームがいいですよ、といって推薦しても「因縁」がなければこの音楽に出合うことができないのである。両者が求め合って初めて「因縁」が成立するわけである。

 

 

 

そやな、って思いました。

 

いやほんとに。

 

 

 

「Stratosfear」って造語なんですって。

Stratospheare=成層圏 + fear=恐れ で Stratosfear。

これについても横尾さんがすごい的確なことを仰ってて、

 

 

タンジェリン・ドリームに出合った頃、ぼくは「宇宙的なもの」を求め続けていた。(中略)ーあの頃ぼくは自分の死について色々と考えていた。勿論死に対する恐怖から死について考えるようになったわけではあるが、(中略)次々と考えを深めていくうちに、ついに宇宙に突き当たり、(中略)つまり神の問題に到達してしまったのである。

 

 

宇宙感はもう再生した時からガチガチに感じてるんですけど、

 

死の恐れとTDが呼応したというのはヒントになり、バンド側がそこまで具体的だったかは不明ですが

多くのものを対象にしたいろいろな意味が詰まった恐れ、ということなのかと思って

すごくいいタイトルだと思っています。

 

 

しかし、なぜ邦題は「浪漫」なんやろか。

そしたら本当にロケットで成層圏に突入した時に成層圏怖いって思ったのかとも受け取れるやん。

でも意外とそんなもんかもな。

 

 

 

もうちょっと細かく

 

1曲目、

タイトル曲であるStratosfearのギターリフでうおお〜ってなるんですけど

なんとエドガー・フローゼ本人が、12弦ギターで弾いてるそうです。

シンセもプロだし、ギターも弾ける。。

その他、メインのシンセはMoogとMellotron

機種は違うかもですがMellotronはこれ↓

こんな家庭的なイメージで売り出されてる楽器から、よくこんな悪魔的な音楽を生み出すよなぁっていつも思う

クリムゾンとかも使ってたみたいです。(ビートルズも)

 

 

youtu.be

 

 

2曲目、

The Big Sleep In Search Of Hadesの構成も面白く、

オープニングとエンディングで

バロックソナタ風に響くメロディックハープシコードとフルートが流れてきて、

重々しくも宗教っぽさを感じる

 

 

3曲目、

収録されてる曲のなかでは個人的には一番聴き心地がいいなと思う

流れるようなメロトロンブラスのメロディーと、ハーモニカのパッセージ、柔らかいリズムマシンを聴くと

夜明け前の瞑想に向かう行進なんかが思い浮かぶ

「境界線午前3時」っていう邦題はそんなイメージにぴったり

 

 

4曲目、

Invisible Limits、見えない限界

この曲はギターとエレクトロが素晴らしくマッチした壮大なプログレッシブ曲

最後に突然のエドガー・フローゼのグランドピアノで優しく幕引きされる展開にはビビる

 

 

 

 

ライブ映像もあるので貼っておきます。

 

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最初に目に飛び込んでくるのは

エドガー・フローゼと上手のThorsten Quaeschning(カタカナでどう表現したらいいのか分からない)さんのセット!

リアルタイムでプログラミングでもしてらっしゃるのでしょうか、

PCに映っているものがまったくわからない。

TH.Quaeschningさんはエドガー・フローゼの後を継いで、今もTDを率いていらっしゃいます。

 

そして後ろのパーカッションがまためっちゃいいな〜みたいな、

あ、ここはリズムマシンじゃなくてやっぱ生音なんだ、ライブだし、と思った次の瞬間の

サックス!笑

えっサックス???わかんない、どの音なのか全然わかんない

なんでこの曲でサックスを入れようと思ったんだろう。わかんないけどすごい。

 

 

最後にもう一節だけ、

横尾さんがタンジェリン・ドリームについて表されたお言葉でとっても的確だな〜と思った文を掲載させていただきます。

 

 

タンジェリン・ドリームの音楽が持つ飛翔感や、浮遊感は、引力が切り離された状態のことで、

地球から宇宙空間へ、肉体から魂へ、現実から理想郷へ、地獄から天国へ、此岸から彼岸へ、

三次元から四次元へ、空間から時間へ、人から神への旅の感覚である

 

 

ほんまそやなぁと思ってます。