クラウトロックとそれにまつわる音楽のブログ

クラウトロック/ジャーマンプログレの紹介がメインです。

【WORLD・NEW AGE】POPOL VUH/Agape Agape

 

マーキームーン社刊から出ている「クラウトロック集成」という本が置いてあるレコード屋さんでまだ自分がこのジャンルに傾倒する前店長に、

「POPOL VUHなんて言葉、日常生活で全く使わないし、今読んどかないと今後二度とPOPOL VUHについて調べることもないだろうから、そのページ、読んどいたほうがいいよ!」

と言われてから、どっぷりハマってしまった。

好きな人に会うときみたいにドキドキする高揚感をいつ聴いても感じられるのはこのバンドかもしれないです。

 

 

 

Florian Frickeとは

ポポル・ヴーという不思議な響きのバンドは、

1970年に音楽家Florian Fricke(フローリアン・フリッケ)を中心に、Holger Truelzsch(ホルガー・トリュルシュ)と、 Frank Fiedler(フランク・フィードラー)で結成された、ドイツ南部はミュンヘンクラウトロックバンドです。

 

バンドは3人で始まったものの、このバンドにおいての音楽とは、リーダーであるFlorian Frickeの音楽です。

 

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©️BELLRECORDS

 

個人的にフローリアン・フリッケにおいて特筆すべきは2点。

ある種、クラウトロックの特徴とでも言えるモーグシンセサイザーを誰よりも早く取り入れたこと、それからドイツ映画監督Werber Herzog(ヴェルナー・ヘルツォーク)と親友であったことです。

 

モーグとフリッケ

下の写真はモーグシンセイサイザーとフローリアン・フリッケです。

めちゃめちゃカッコイイですよねぇぇ、

当時モーグなんて200万以上する代物だったはず、

それを若干27歳の若さで買ってPopol Vuhのファーストアルバムを作ったんですから、その財力にも脱帽です。

フリッケは富裕階級出身だったということもあると思いますが。。

 

しかも、彼、その超高価なモーグシンセサイザーで3枚アルバムを作った後に、すぐ人に譲っちゃうんです(この間、約2年)(あげたとも言われているし、売ったとも言われている)

しかも、その譲渡相手はTangerine Dreamのオリジナルメンバーで、モーグシンセイサイザーの巨匠と言っても過言ではなく、未だに若き音楽家たちにも影響を与え続けるKlaus Schulze(クラウス・シュルツ)なんですねぇぇ

 

めちゃめちゃロマンある、この流れ

 

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©️bettina von waldthausen

 

ヘルツォーグとフリッケ

ドイツ映画監督のヴェルナー・ヘルツォーグと、フリッケは10代の頃からの友人で、

Popol Vuhというバンド名の由来は、2人がミュンヘン大学の図書館で見つけたマヤ文明教典「死者の書」からきているそうです。

一緒に読んだ本の名前を生涯のバンド名にしちゃうなんて本当に仲良しですよねぇ

 

ヘルツォーグは、

ヴィム・ヴェンダースライナー・ヴェルナー・ファスビンダーらと並ぶ、ドイツのヌーヴェルバーグ、ニュー・ジャーマン・シネマの代表的な監督だそうです。

自分の撮りたいものを撮るためにまさに命がけでアマゾンの奥地に入っていき、撮影スタッフの怪我、仲間割れ、殺す殺さないの脅しなどを経て撮影を敢行、様々な狂気的なエピソードを残している監督とのこと。

(実際に映画も割と常軌を逸している系の禍々しいストーリーのものが多い)

 

更にヘルツォーグは、音楽からの影響を大きく受けて映画を作っていたという特異的な監督だそうです。

そんな彼の頭の中に流れる神秘的で狂気じみた音楽を再現できるのは、フリッケだけだったのかもしれません。

 

自分的に、この手の音楽が映画やドラマのサントラに使われるなんて発想がまずなかったので、初めて知った時には非常に驚いたことが記憶にありますが、

(CANやTangerine Dreamもよく使われています。)

フリッケのように音楽以外のクリエイターとがっつり絡んで作品を残していったクラウトロックアーティストは珍しいんじゃないかな〜っと思ったりしていて、親友でありながら、仕事も共にする最高のパートナーがいるなんて、その関係性が羨ましくもあったりします。

 

Agape Agape

バンドの説明が長くなりましたが、今日紹介する盤の話をします。

(捨て曲がないのでアルバムで紹介します。)

 

散々、モーグの話を前談でしたから電子音楽のアルバム紹介かと思いきや全然違います。

 

1983年に発売された「Agape Agape」というタイトルのアルバム。

69年から活動しているPopol Vuhにとっては中期の作品になりますが、マジで素晴らしい。ぐうの音も出ない。とりあえず、今すぐ、Youtubeの再生ボタンを押して曲の世界に浸っていただきたい。

 

 

youtu.be

1. Hand In Hand

2. They Danced, They Laughed, As Of Old

3. Love, Life, Death

4. The Christ Is Near

5. Love - Love

6. Behold, The Drover Summonds

7. Agape - Agape ←DJで1曲目にかけたい。

8. Why Do I Still Sleep

 

名盤というのは曲のタイトルさえも素敵ですね。

「Why Do I Still Sleep/私はなぜ眠ったままなのか」なんてタイトル最高すぎませんか

一体誰の視点なんやと。この曲を聴いて心が安らがない人なんているのでしょうか。

 

 

Popol Vuhのバンドサウンドの最大の特徴は、宗教観。

フリッケが電子音楽をやめてアコースティックに回帰し、旧約聖書を題材にして作品を作り始めてから、色濃くその特徴が出ております。

誰よりも早くシンセを取り入れた男は、電子音楽を早々に手放し

ある人にとっての信じる道であり、ある人にとっての救いであり、時に争いを勃発させる宗教を、自分のサウンドに取り入れることに着手して行ったんですね

 

そんなキャリアの中での中期の作品なんですが、ある種もう極みに来ている感じがあって大変なことになっているんですよ、

バンドキャリアの中期にしてもうほぼ集大成な感じな訳ですよ、宗教崇拝ミュージックというジャンル(?)において。

いや、作り始めの作品も、Popol Vuhで一番の名盤!と言われているほど素晴らしいんですけれども。

 

 

グレゴリオ聖歌のようなコーラス、辺境系パーカッション、祭事や儀式に欠かせない銅鑼や11年ぶりに参加したConny Veitの12弦ギターの存在感・・

宗教を感じるような音楽ってダブっぽさが強いものが多いと個人的に感じていたのですが、このアルバムはダブっぽさがまるでない、そうなると、ここまでスピった感じになるかと・・・

 

原始的・土俗的であり呪術的、だからこその古代宗教感故の神秘的さ、非常に心地が良く郷愁感強め。

瞑想にもうってつけ。

私はこのアルバムはニューエイジだと思っています。

 

ちなみにこのアルバムは去年再発が出てます。One way static recordsというレーベルですが、ホラー映画やカルト映画のサントラを

主にリイシューで出しているレーベルからです。

 

Love

フリッケは、2001年に脳卒中で他界しています。享年57歳。若いですね。

彼のインタビューに

”Popol Vuh is a Mass for the heart.  It is Music for Love.  Das ist alles (that is all)...”

という言葉があります。

 

愛のための音楽、なんだか彼自身がキリストだったんじゃないかと思ってしまいますね。結局、どの 宗教の先にあるのは愛なんですね。

 

 ちなみに「Agape」とはギリシャ語で「Love」の意味です。

どちらかというと無償の愛。

 

 

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大好きすぎて全然うまくまとめられませんでした。

ここに出てくる登場人物や書ききれていないレコードの紹介についてはまた後日。