【SOUNDTRACK・SYNTH】Tangerine Dream /Betrayal(Sorcerer - Music From The Original Motion Picture Soundtrack)
The Sorcerer
クラウトロックというジャンルに限定せずとも、
ここ数年、好きなバンド不動の1位に君臨し続けているTangerine Dreamについて書きます。
というのも、昨日Tangerine Dreamがサントラを作った映画
「The Sorcerer(邦題:恐怖の報酬)」が今年の11月に復活することが発表されたのです!
「The Sorcerer」はアンリ=ジョルジュ・クルーゾーが1953年に発表し、第6回カンヌ国際映画祭でグランプリ&男優賞を、第3回ベルリン国際映画祭で金熊賞を獲得した映画で、1977年に「エクソシスト」で有名なウィリアム・フリードキン監督がリメイクした作品です。
(エクソシストのテーマといえば誰もが一度は聞いたことあるであろうMike OldfieldのTubular Bells。)
Mike Oldfield - Tubular Bells III CONCIERTO - YouTube
映画のざっくりとしたストーリーは、
反政府ゲリラによって爆破された油田の火災を超危険なニトログリセリンの爆風で鎮火しよう!ということで祖国を追われた犯罪者4人が1万ドルの報酬と引き換えに、南米ジャングルの中ニトロを運ぶというサスペンス大作。
大きくなった油田の火事はニトロで派手に吹き消すそうじゃないか・・・・・・(AKIRA)
ほんとかな?ほんとに消えるのかな?ニトロの爆風で油田火災。
謎ですがトレーラーの時点でかなりハラハラして面白いので最初に見てください。
アナログシンセバリバリのSorcererのテーマ曲、めちゃくちゃカッコ良いです
タイトルのBetrayalの意味は裏切り
Sorcererの全曲試聴はこちらから。
全世界で77年にLPが出されていますがやはり高いのは日本盤。
特に日本盤のプロモ盤は高い。
ちなみにこの映画、なぜオリジナル完全版復活でそんなにニュースになっているのか?については映画.comから引用させてくださいね。映画、詳しくない
ユニバーサルとパラマウントの2大メジャースタジオが破格の製作費2000万ドル(現在の100億円相当)を共同出資し、3大陸5か国に及ぶ大規模なロケを敢行。完成までに、2年を超える製作期間を費やした。人生のどん底からはい上がろうと、命をかける男たちの運命を冷酷非情なリアリズムで描ききり、ホラー作家のスティーブン・キングが「人生で最も好きな映画」と公言。クエンティン・タランティーノ監督は、自身のオールタイム・フェイバリット12本の 1 本に選出するなど、熱狂的なファンが多い作品だ。
しかし、同時期に公開されたジョージ・ルーカス監督の「スター・ウォーズ」(1977)が巻き起こした一大旋風の直撃を受けて、興行的に失敗。日本をはじめ北米以外では、監督に無断で約 30 分カットされた 92 分の“短縮版”が配給され、正当な評価を受けることなく公開が終了した。
また、2大メジャーの共同出資が原因で、権利者不明の状態に陥り、長きにわたって全世界的に上映不可。北米以外では DVD も発売されず、映画ファンの間では長年「幻の作品」「失われた傑作」として位置づけられていた。
こうした状況に業を煮やしたフリードキン監督は 2011 年、自らスタジオ 2 社を提訴し 、権利者を特定。2013 年には、オリジナル完全版(121分)の 4Kデジタル修復に着手した。同年のベネチア映画祭でのプレミア上映を皮切りに、2014年にロサンゼルス、2015年にパリ、2016 年にカンヌ映画祭、2017年にロンドンで上映。各地で再評価の嵐が巻き起こるなか、ついに「恐怖の報酬 オリジナル完全版」が日本上陸を果たす。
「恐怖の報酬 オリジナル完全版」は、11月24日から全国で順次公開。
<映画.comより>
Tangerine Dream
まぁそう言う映画の話題があったのでこのTangerine dream(蜜柑夢)と言うバンドについても紹介したいと思います。
このバンドのことを紹介するのってめちゃ難しいんですけど、
簡単にいうとアナログシンセ使いのビートのないクラウトロックバンド代表、電子音楽のレアグルーヴみたいな感じでしょうか。電子音楽界の草分け的存在。
ニューエイジやアンビエントにも部類される彼らなんですけれども、1967年から今現在に至るまでほぼ毎年コンスタントに作品を残し続けた鬼の多作バンドで、しかも現在も活動を続けています。
wikipediaのdiscographyがすごい
そして何よりも初期メンがやばい
エドガー・フローゼと、クラウス・シュルツと、コンラッド・シュニッツラー
エドガー・フローゼは2015年に亡くなるまでTangerine Dreamの中心にい続けたオリジナルメンバー
クラウス・シュルツは世界一のアナログシンセサイザー奏者、アナログシンセ界のプリンス。(存命、2018年時点71歳)
コンラッド・シュニッツラーはKlusterの創立メンバーでもあるドイツきってのカルト的変態電子音楽家
例えると、ジミヘンと、カート・コバーンと、シド・ヴィシャスのバンド、
マイケル・ジャクソンと、プリンスと、ジェームス・ブラウンのバンド
?
Tangerine Dreamについてわかりやすい悶絶カッコイイライブ映像はこちら
インプロなんすかあ、、って感じ
イギリスのコベントリー大聖堂で行われたライブなんて相当カッコイイ(変な映像エフェクトしょっちゅう入ってくるけど)
まず場所がいい、大聖堂っていう
そんな聖なる場所にこんなに大量の管だらけの楽器を複数台持ち込み、聖なる場所には到底似つかわしくない、悪魔召喚かな?と思うような音楽を平然と演奏し続けるメンタル!
そもそもなんで3人とも同じ楽器演奏してんだよって感じだと思うんですけど
同じ楽器演奏しているのにいろんな楽器が入っているように聞こえませんでしょうか
いわゆるドラム系の打楽器は使っていないのに地底から這い上がってくるような低音ビート、
頭痛を誘発するような不気味なストリングス音やギター音、
アナログシンセサイザーのまどろみかかった音質、などなど。
全てのパートが合わさっておどろおどろしいが美しいTangerin Dreamの音が完成しています、
ドイツ電子音楽の全てはここから始まった、
今日に至るまでも彼らが及ぼす音楽的影響は計り知れません。
と言いつつも、
この輝かしすぎる初期メンは「Electronic Meditation」という
ドイツ電子音楽を語る上では避けては通れない作品を残しわずか1年で分解、
クラウス・シュルツは同時期に参加していたAsh Ra Tempelも辞めてしまいその後ソロで大活躍、
コンラッド・シュニッツラーは70年-71年の間にKluster創立メンバーとして功績を残しソロで大活躍、
二人とも誰かと何かするの苦手だったのかな?
その後、Tangerine Dreamは何人もメンバーを変え、
毎回アルバムの端っこの方に雑コラ的に登場していたエドガー・フローゼの息子ジェローム・フローゼが演奏者として成長しバンドに参加したり
↑コレ
日本人バイオリニスト山根星子さんをメンバーに迎え入れたりして現在に至ります。
2015年にエドガー・フローゼが亡くなった時は本当に一つの音楽ジャンルの終焉を感じましたが、今もエドガーの意志を継いだ3人によりバンドの活動は継続されています。
Stranger Things
Sorcererの前日談的なアツい話をします。
自分はSF好きなんですがNetflixにStranger ThingsというSF版Stand by meみたいな海外ドラマが入っておりまして、
主人公の男の子たち+女の子が異世界の生物と闘うみたいな話なんですけれども、そのドラマが最高に面白くてSeason2まで出ているんですけれども大変なファンでして、一番有名な曲がこちらなんですけれども
この曲はなんと、Tangerine Dreamの「Sorcerer」のサントラに影響を受けて作ったとサントラを手がけているSURVIVEというバンドが公言しているんですね!
そしてそれを受けて、本家のTangerine DreamがなんとStranger Things Themeのカバーをライブで披露したという。
なんていい話!
映像左のThorsten Quaeschningの顔怖すぎ
こちら公式HPなんですけれども色々と仕掛けもあったりして楽しいので触ってください、情報過多すぎるのはクラウトロックバンド特有のこと・・・
Tangerine Dream - Edgar Froese
とりあえず、映画の切り口ということで非常に簡単な紹介でしたが
まだまだ、名作色々あります。
多作な彼らの中でも圧倒的にジャケが美しいrubycon、
横尾忠則氏のライナーノーツに影響を受けまくったStratosfear、
アナログシンセで踊れる映画音楽Flashpointなどなど。
(こう言った音楽性なもんですからTangerine DreamはSF/ホラー系のサントラをたくさん手がけていたりもします。)
やっぱり初期の作品が素晴らしいですね。
かつて70年代に渋谷陽一さんがDJをされていたヤング・ジョッキーというNHKの番組ではTangerine Dreamのアルバムがフルで40分以上OAされたこともあったそうです。
どんだけいい時代?いや、でもラジオから40分間Tangerine Dream流れてくるのはキツイ、狂ってる。
1967年から51年間も活動を続けているバンドの紹介なんてこんなペラ1にまとめられるか!